第15回 住居の会奨励賞

img15-1宮前眞理子氏(26回生)(前列左から2番目)とNPO法人コレクティブハウジング社理事メンバーの方がた

空き家を活用して地域コミュニティを再生しよう!!

~タウンコレクティブのこころみ~

活動の目的
NPOコレクティブハウジング社は、多様な人が多世代でつながりを創りながら暮らす、コレクティブハウジングを実現していくことを目的に、ハウス建設やコミュニティづくりの活動を行ってきました。今回の応募は、少子化や高齢化にともない増え続ける街中の空き家を活用し、コレクティブハウジングの考え方でネットワークし、地域社会の中で消えつつあるコミュ二ティを再生させようという目的で進めているタウンコレクティブの活動です。

img15-2活動の概要
■活動の経緯
NPOコレクティブハウジング社(CHC)は2001年に認証され活動を始めました。集合住宅としてコレクティブハウスを日本に広く普及させようという事とともに、今回奨励賞をいただいたタウンコレクティブ構想も初期より企画としてありましたが、近年になり、全住宅の戸数が全世帯数を上回り、さらに高齢化と若者の非婚化や少子化が進むにつれて、マンションやアパートだけでなく一戸建て住宅地にもあちらこちらに空き家が目立つようになってきて、地域社会の崩壊や高齢者の孤独死などが社会問題となる中で、具体的なコミュニティの再生につながる活動として空き家を活かしネットワークを再生しようという事業化や仕組みづくりの検討が始まりました。 実際は、2008年、友人の両親が他界したあと家族が誰も使わない、相続した2世帯住宅の活用について相談されたのが始まりでした。地域全体が高齢化し、自治会活動もままならないような地域の大きめの住宅にリタイヤした夫婦と50代の女性が住み、それ以外にCHCの居住希望会員もその家を一部恊働で使うという試みでした。(菊名ミニコレクティブ)

■タウンコレクティブの仕組みづくり
タウンコレクティブは、大きめの空き家をコモンハウスとして数人が住みつつ、その家を皆の拠点とし、地域内の別の空き家に住む人達もコモンハウスを使って、食事を共同化したり、ガーデニングや掃除などのメンテナンスや、イベントなどを協力して行なうというものです。
緩やかにつながりをつくり、孤立しない、安心できるコミュティや地域社会を自分たちでつくりながら暮らそうという考え方です。
2012年に住居学科の同級生より、自分が相続した両親の大きめの一戸建て住宅を、菊名のようにタウンコレクティブの考え方で活用できないかというお話があり、今年の6月から「タウンコレクティブ新江古田」がスタートしました。
新江古田の住宅をコモンハウスとして4人の人がシェアで暮らしつつ、周辺に住む会員がメンバーとなって、コモンハウスのキッチンやリビングルーム、テラスなどを皆で一緒に活用して食事づくりを共同化(コモンミール)したり、ハウスの維持管理にも参加し、コモンハウスの維持管理費なども出し合います。
現在、コモンハウス運営のルールづくりやお試しコモンミールなどを行なっています。いずれは周辺に住む方とのイベントを行ったり、地域のなかでも開かれた場を持つ家としてさらに多様な活用が出来るよう考えたいと思います。

■今後の予定
これから、ますます多くの住宅が空き家になり、街中にそういう物が点在する事が全国で予測されています。東京23区などでは既にその問題に行政が取り組みはじめているところも多くなってきており、豊島区の取り組みにはCHCも参加しています。
この事は私たち一人一人にとっても大いに関係のある問題となると思います。親族や自分が残す住宅をどう活用できるのか、庭や樹木などの快適な住環境をどう継承できるのか。空き家の多発する中で私たちがそれをどう活かして使い、自分も孤立せず快適な地域生活ができるのか。血縁や地縁がなくても若い人が地域で暮らせるように上手く世代が交代していけるかなど。
CHCでは、コレクティブハウスの持っている「コミュニティをつくりつつ多様な人が共に暮らす」という暮ら方を活用して、住まい手自身が参加して、快適で安全で、物を活かして使う環境を守る暮らしや、地域社会を維持していくタウンコレクティブの仕組みを具体的な事で検証しつつ、全国各地の多くの方が使える仕組みとして一層充実していく活動や、多くの方に広く知らせる活動などを今後ともさらに広く行なっていきたいと考えています。

NPOコレクティブハウジング社
http://www.chc.or.jp/
〒171-0031 東京都豊島区目白3-4-5 アビタメジロ302
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