第16号 橋本 彼路子(34回生)

円い家

exp_top□千葉市優秀建築賞
□住宅総合研究財団 ハウスアダプテーションコンクール 優秀賞

交通事故で脳の右側に障害を負い左片麻痺になった父と介護する母のために息子御夫婦が建てた家。当時の自宅は築25年の木造で増築を繰り返し段差が多く、廊下幅も狭い上に浴室や便所にも問題が多かったこと、道路と敷地に高低差が約1mあり玄関に至るまで石の階段と土の部分が問題となっていたため、建て替えることになった。車いすで自由に動けるように、柱などの出っ張りのない広い空間が必要なことと、事故後寒さに敏感になったことから、壁構造及びフラットスラブのRC造、ペアガラスと床暖房を選択した。 父母が暮す一階は、楽に車椅子で行動できるように、外部からのアプローチ、お風呂、木製デッキベランダまで全く段差はない。車いすに乗ったまま、テラスや木製デッキに出てタバコを吸うことも、電動車いすに乗り換えて一人で外出することもできる。トイレは完全に自立、入浴は部分介助。円弧を描く形態は、1階床レベルまで庇付きスロープで上がるための必然的な形であるが、45m2を小梁なしにできるなど構造的メリットもある。

スロープとテラス状階段2
気候の良いときはリハビリのため、手すりを使ってスロープを降り、テラス状階段を上る。

 

 

スロープ31
敷地が道路より1mくらい上がっている

 

 

 

浴室・トイレ8
浴室、トイレ、洗面所、洗濯機置場を一体化、それらと手すりを自立できるように配置し、車イスでも利用しやすい広く段差のない空間。 トイレに関しては現在全く介助を必要としていない。