作品の主題について
ある時、本の中で、「花が存在しているのではなく、存在が花をしている」という表現に巡りあいました(たぶん、華厳経からだったと思います)。「私が存在している、のではなく存在が私をしている、無限の時間と空間のなかで、ほんの一刻、スーッと現れ、スーッと消えていく存在が私をしている。ほんの一刻でも凛として、すっくりと立ち、他者から様々な影響を受け、又与え・・・・」その想を一番感受性の強かった頃、過ごした生田の冬木立に託して描きました。樹がきちんと描ける事で自分もきちんと生きられそう・・・そんな気がしています。
油彩とリトグラフ
油彩は高校の頃から始めました。リトは始めて五年になります。興味があって始めた事ですが、思った以上の大きな収穫がありました。
一つは油彩の技術を見なおす事が出来た事です。刷師という専門職が版画の世界にはあります。いくら精神的に高尚な事を言っていても、絵という品物がペラペラではどうしようもないという事を彼らの仕事を見て思い知らされました。きちんと絵の具の色が出ているか、画面に絵の具が乗っているか・・・など見直しをした次第です。
もう一つは油彩にはなりにくい、情緒的だったり、物語性のある主題を楽しんで描く事が出来た事です。そこで描いたものを、整理して油彩で表現していきたいと思っています。 いずれにしても、両方をやって行く事でもっともっと世界が広がる予感がしています。
作者紹介 幡谷 史子 (18回生)
1946 | 東京に生まれる |
1961 | 一陽会・勝一晃生氏に師事 |
1964~1967 | 一陽会出品 |
1968 | 3月 住居学科卒業 |
9月 石井幹子照明デザイン事務所入所 | |
一陽会休会 | |
1974 | 石井事務所退職 |
1976 | 一陽会出品 現在に至る |
1985 | 会友推挙 |
1994 | 会員推挙 |
1998・2001 | 銀座・望月画廊にて個展 |
2004 | 損保ジャパン美術財団奨励賞受賞(今月号の表紙作品) |
銀座・井上画廊にて個展 | |
その他グループ展出品 |