佐藤 由紀子(39 回生)
一級建築士事務所 F.A.D.S主宰
読売ランド前駅周辺まちづくりプロジェクト
(略称:ランドプロジェクト)
目的
都市計画マスタープラン多摩区構想検討委員会で川崎市長に提言した事を市民レベルでも出来る所から実現してみようとするボランティアグループです。
読売ランド前駅周辺は自然豊かな環境を有する一方、潜在的な課題も多数抱えています。一般に、地域の問題が顕在化するのは開発計画などが持ち上がった時で、その多くは反対運動や裁判という形をへて時間切れで終焉を迎え、望ましい成果は期待できません。私達は対処療法的な活動ではなく、先行型で自発的かつ前向きなまちづくりを実践しようと、2005年にグループを結成しました。
誰もが気軽に参加できる楽しい企画やイベントを通じて、同じ生活圏に暮らす人々のネットワークを構築する事(ソフト面の活動)と、活動を通じて日頃からまちの将来を考えたり、問題意識や課題を持ち寄ったりするような「まちについて考える環境や場」をつくる事(ハード面の活動)を2つの活動の軸としています。この活動がよりよい地域、生活しやすい地域の創造の一助となれば幸いです。
具体的な活動内容
●メンバー構成
地域住民、商店街、大学教員・学生、附属高校教諭の有志19人が事務局を運営しています。この他に、川崎市と多摩区のサポートと西生田キャンパス大学生の応募参加があります。(25〜40人)
●ハード面の活動
・まちづくり講演会、文化講座の開催
・まちに関する意見や希望、まちの将来像などを継続的にアンケート(累計約900名)
・駅前空間の改善や将来像の検討。現在は商店会が行う街灯取替事業にあたって提言やアドバイスを行っています。
・読売ランド前駅周辺の参考になる類似地区の調査研究・視察をしています。
●ソフト面の活動
・地元オリジナルブランド商品の開発
「学生」のアイデアを「地域住民」のアドバイスと「お店」の技術力によって実現し、ここでしか買えない魅力あるオリジナル商品を開発する企画。この企画は、世代を越えた様々な人との交流を通して、一般の人々にも地域やまちづくりに目を向けてもらう事を意図としたものです。他の地域でも似た企画はありますが、まちづくりの観点で地域住民が中心となって取り組んでいる点が他との大きな違いで毎年、テレビ、新聞、ラジオなど様々なメディアで取り上げられる活動のひとつです。
過去3年の成果
2007年 「ミス・チェリー」が「かわさき名産品」に認定、商品化
2007年 「紅茶とリンゴのパウンドケーキ」商品化
2007年 「ブルーベリーとチーズのパイ」商品化
2008年 「ミス・チェリー」が「全国推奨観光土産品」に認定
2008年 「キャラメルとナッツのタルト」が「かわさき名産品」に認定、商品化
2009年 西生田キャンパスの卒業式、入学式におうふうサロンより地元ブランド商品詰合せボックスが販売される
・他の活動グループ(駅前まちおこしコンサート、地域通貨運営グループ)との連携・協力
・文化活動(商店街夏祭り共同開催「PONJYO BAR」の開催、紅葉狩り、お花見)
・社会奉仕活動(駅前クリーン活動)など。
まちづくり活動は短時間で成果を出すことは難しいですが、この活動をきっかけに将来の道をみつけて行政,NPO,企業など様々な分野に飛び立った学生さんが多数います。場づくりが人づくりにもなっている事を実感するこの頃です。
ランドプロジェクト以外に、私がこれまでに自ら立ち上げたボランティア活動としては、坂倉準三の処女作として知られる住宅<飯箸邸>の保存活動があります。(ドメイヌ・ドゥ・ミクニとして軽井沢に移築)
私自身は設計事務所を主宰し、日頃は公共建築、住宅、店舗など様々な建築設計を手がけています。先日、これまでの仕事を総括した展覧会がイギリスの美術館で個展として4ヶ月間開催されました。
http://www.beam.uk.net/galleryArchive.php?id=1
またこの展覧会のカタログが書籍化され、『Aqua-scape』というタイトルでイギリスで出版されました。都内書店でも購入できます。
http://www.cornerhouse.org/books/info.aspx?ID=3306&page=0
佐藤 由紀子 F.A.D.S
一級建築士事務所 藤木建築研究室
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