2023 年度住居の会奨励賞は、選考の結果以下に決定致しました。
①活動のテーマ
建築・空間の作り方から、コミュニティの距離の程よさが生まれないか、ハードの作り方を意識していくこと、個人が所有する住まいにおいてもオーナーを巻き込んでいくこと、そして、その場を生かす仕掛けをソフト面で提案し運営することで、年代に関わらず、地域での関係性を自分で選択し、自分らしく暮らし続けられるような地域づくりをテーマに展開して
住み手が変わる建物、寿命を迎える建物、建物の将来もあわせて、
②活動の背景と目的
コミュニティや地域への意識が、建築の空間をきっかけに広がっていくこともひとつと考え、自らの暮らしや収益性の先にある、その地域で暮らし続けることの意味を、オーナーをはじめ近隣の方と共有するため、場所を近隣に開く試みを実践しています。
そこに住まう人の興味を促し、共に考え育む仕掛けを提案し運営しつつ、その場が起爆剤となり、周辺でも同様の場が生まれたり、延いては地域全体の価値を高めることが、様々な問題解決の糸口になればと考えます。
③これまでの活動
小さな庭をコモンスペースとして外に開くという試みは、アートのワークショップから、ミニマルシェへと発展しました。
その間には、近隣にて、世代交代が迫った建物に対しての建替提案も行っています。
伴侶に先立たれ高齢単身となった建物オーナーが、施設に入居したり引っ越したりせずに、同じ土地に住み続けることができるようなコーポラティブ型の住まいの形も検討しました。まだ形にはなっていませんが、その経緯の中で、終の住地となるようなエリアリノベーションの価値について、十色ハウスのオーナーと共有し学んだことにより、周辺地域に開きつながるマルシェの実現に至りました。
「ろじにわ」は大きなスペースではありませんが、街に開くことを命題に、路地から繋がるように作ったことで、街に少しはみだしながら、オープンな賑わいをうむことができています。路地の先にある庭屋さんのガレージをお借りし、点在型マルシェとして、近隣を歩きながら楽しむ試みも行っています。
近所の方々が多く訪れて、パンは午前中で完売、また、思った以上にシニア世代の方が訪れてくれたことなど新たな発見にもつながっており、シニア向けのイベントや、健康イベントなどの企画ももちあがっています。
さらに、同じ路地内には、街に開く場所として、カフェとシェアアトリエがオープンし、「ろじにわの家」の存在が起爆材となりエリアを活性化させつつあります。
「ろじにわの家/十色ハウス」の住人も入れ替わりがありながらも、常に満室状態にあり、特に1階の庭に面した土間付き住宅では、当初イメージしていた「庭に開いて暮らす」を実践するように、入居された鍼灸師さんが土間を開いていくような試みも行われています。
④今後の活動予定
「ろじにわの家」では、今後の予定として、シニアに笑顔を、というコンセプトのイベントや、クリスマスマルシェなど、ミニマルシェを継続的に行っていきながら、そこに住まう人たちとつながりながら、街と人の特性を見つつ、近隣での建物の世代交代にも提案を行っていきたいと考えています。
「ろじにわの家」を見た、と、外構だけ依頼されるケースも増えており、家と道の境界を緩やかに開く形で、戸建でも街に開くような街並に対するデザインを提案していきたいと考えます。オーナーにとっての収益性、事業の仕組も検討し、建築というハードの視点とあわせて、暮らしが継続していく提案を行っていきます。
様々なジャンルの人たちをタッグを組み、多様によろず的相談を受けるなども実践すべく、拠点を設けることも検討しています。
【受賞者からのコメント】
このたびは、
これからも、住居学科で学んだことやネットワークを糧に、
木戸扶紀子/Unico design一級建築士事務所
木戸さんの益々のご活躍を心より期待しております。
2023年12月 執行部