2024年度住居の会奨励賞は、選考の結果以下に決定致しました。
シェアハウスを通じて、地域ぐるみでの子育てやワーキングシェアの拠点など、地域と密接な「顔の見える」関係性を構築する活動に携わる、瀬川さんに授与させて頂きます。住居の会としても、このような近隣と共助できる場所が増えていくことを願い、活動を応援したいと思います。
アンモナイツ 〜シェアハウスを中心とした多拠点近接ネットワーク型の暮らし〜
瀬川翠さん(61回生)
アンモナイツのWEBサイトより抜粋
◆アンモナイツの活動
アンモナイツは、シェアハウスを拠点に地域に密着した多拠点近接ネットワーク型の暮らしを送るグループです。
私が日本女子大学在学中の2012年に大家として活動をはじめ、現在もメンバーの一人として共に暮らしています。
2棟のシェアハウスでは住みびらきをおこない、地域ぐるみでの子育てやワーキングシェアの拠点としています。
シェアハウスの様子
◆コンセプト
「まちの最大の魅力は個性」という持論を軸に、シェアハウスをインキュベーションとし、メンバー同士で新規事業を複数立ち上げるなど、地域と密接な「顔の見える」関係性を築いています。
メンバーのライフステージの変化によって、ウェディング事業や子育てできるシェアハウスを新設したり、地産食材の惣菜屋や、子連れで働けるワークスペースを近隣にオープンするなど、積極的に拠点を増やし年々ネットワークを成長させています。
建築家としての職能を拡張し、空間の力で地域に魅力ある拠点をつくりながら、その後の運営まで携わり続けることを大切に活動しています。
活動拠点
◆活動を通じて感じていること、これからの展望
今後より一層少子高齢化が進み、人口減少・税収減が想定されるなかで、有事・平常時ともに、公的サービスや支援だけでは福祉をまかなえなくなる時代が来ると考えています。
私たちが目指しているのは、シェアハウスを起点とした民間主導の地域内共助の仕組みをつくることです。
まずはシェアハウスの住みびらきから始め、自分たちがこの地域に欲しいサービス(子連れで働ける仕事場、安心安全な地産野菜の惣菜屋、地域に祝われる結婚式など)をまずは自分ごととして立ち上げてきました。
“井の頭暮らしを楽しむ”カフェ
吉祥寺de wedding
デリとお菓子のお店
同じように近隣の方にも喜んで使ってくれるようになり、地域への愛着が育まれていっているように感じています。
いずれは親の介護、最終的には自分たちの老後も地域内共助で幸せに実現できることを目標に、最後まで幸せな人生送れる地域づくりを目指しています。
アンモナイツの活動は、ひとつずつは小さな拠点で大きな建物を必要とせず、多拠点近接のネットワークのような暮らし方です。
既存の街の中に溶け込むようにして、どのまちでもできる手法になります。
このような取り組みが同じ地域や近隣地域内に増えていけば、より地域内コミュニティの充実や有事の安心も見込めると考えます。また、これから一層空き家問題が深刻化していくなかでも、地域内の空き家活用という面において地域に貢献できるのではないかと考えています。
◆受賞の感想
建築家はクライアントワークがほとんどですが、自分で事業を企画立案できれば、自ら施主となってやりたい仕事を自分で創造し、欲しい未来を自分の手でつくっていくことができます。
またそのプロジェクトを足がかりに、多くのシェアハウスや店舗の設計の仕事に携わらせて頂きました。
この受賞をきっかけに、これからの建築家のあり方の一例として、若い世代の参考になれば嬉しいです。
現在日本女子大学で非常勤講師をさせて頂いておりますが、学生たちにもそういった能動的な女性建築家像を伝えていきたいと思い、授業をしています。
瀬川 翠さん
参考:
2024年12月 執行部