ようやく秋の気配を感じられるようになった土曜日の午後、交流会を開催いたしました。昨年同様ハイブリット形式で、新泉山館会場からZoom同時配信を行い参加者が繋がりました。
今回は伝統や風習を守り続ける地域と再開発が進む都市でのそれぞれのまちづくりに携わっておられる2名のパネリストのお話を伺い、さらにモデレーターをお迎えしてディスカッションしていただきました。
初めに定行先生からご挨拶をいただいた後、恒例となりましたアイスブレイクの「建築体操」で盛り上がりました。参加者各々が白川郷の合掌造りをイメージしてポーズをとり笑顔で写真に納まりました。
山下さんの軽妙な進行でリラックスしたところで、井上副会長から住居の会は横だけでなく縦の繋がり・交流の場にしましょうとご挨拶をいただき、パネリストの発表に入りました。
パネリスト紹介 ◆福田麻衣子さん(56回生):一般社団法人ホワイエ、 白川郷荻町集落の自然環境を守る会 総務部長 ◆高藤万葉さん (66回生):株式会社TOASt
最初のパネリストは伝統を守る地域でのまちづくりに向き合っておられる福田麻衣子さんです。
急に寒くなったので雪で白川郷から出られなくならないかと心配しましたが車と新幹線を乗り継いでお越しくださいました。
福田さんは定行研究室で子供の居場所づくりを研究、つくる人よりつかう人の思いが大切だと学ばれたそうです。赤ちゃん本舗で店舗設計に携わられたのち、地域おこし協力隊として白川村に移住して10年、現在は白川村民として合掌造りの古民家にお住まいです。
村の人と同じ目線で世界遺産に暮らす当事者として伝統を守り、あらたな伝統をつくる職人でありたいと、地域の課題解決に取り組んでおられます。茅屋根の葺き替えや貸家情報、雪中運動会などの事例を交えながら、村への移住者対応の仕事や自然環境を守る会の活動についてお話しくださいました。住居学の学びが日常の活動を後押ししているのではないかと感じました。
若い世代が抱える世界遺産継承の課題や厳しい自然環境との格闘など、ご苦労の多い生活をされておられると思いますが、それを全く感じさせない笑顔と自然体のお人柄が、村の方々との良好な関係を築かれているのだと思いました。どぶろく祭りで踊っていらっしゃる様子、まさに白川村民です。
二人目のパネリストは都市でのまちづくりに携わっておられる高藤万葉さんです。
高藤さんは大学院(篠原研究室)修了後、アトリエ勤務を経てご夫婦で設計事務所を設立、自邸の改修をはじめ様々な空間デザインを手がけられておられます。今回は土地区画整理事業で更地になった向ヶ丘遊園の商店街を賑わいのある商店街にするという難題に取り組む過程をお話ししていただきました。なかなか提案に共感を得られず数名の地権者とのスタートではあったけれど、きめ細やかな配慮と提案を重ね、だんだん形になっていく様子を説明されました。様々な方々との関わりの中、かなりのご苦労をされたことでしょうが、高藤さんは淡々とさりげなくお話をされ、内に秘めたる静かな力を感じました。現在も住みやすい街・楽しい商店街づくりのためのワークショップを開催し、住民の小さな声を拾いながら、よりよいまちづくりを進めていらっしゃいます。
また学部3年時、UR賃貸住宅リフォームコンペで最優秀賞を受賞し実作体験したことが住宅設計に興味を持つきっかけであり、住み手が求めるものを考え、形になる喜びを感じたと話されました。35㎡の自邸改修ではご自身の暮らしを再考し「暮らしを大切に生きる」設計をされたとのこと。住居学の学びが今回のまちづくりにもつながっているのだと思います。
休憩を挟んでパネリスト2名とモデレーターが登壇、対談していただきました。
モデレータ―紹介 ◆馬場未織さん(46回生):大学院修了後、建築設計事務所を経て建築ライター 第13回住居の会奨励賞を受賞 現在も東京と南房総の2地域居住を実践
馬場さんは”お二人ともご自身の心身に素直に生きておられ、心地よい水の流れを見ているよう。流れていった先に何があるかという話でしたね”という第一声からテンポ良い進行でお二人の活動の楽しさやご苦労などを更に引き出してくださいました。
まちづくりについて、福田さんは世界遺産の白川郷は観光地ではあるがそれ以前に居住地であり暮らしがあり 「売らない・貸さない・壊さない」というルールを守りつつ、新しい暮らし方への挑戦とのバランスが難しいことを、高藤さんはコンセプトのないゼロから地権者・居住者の共感を得るには生活者視点に立ってまちを考えることが大切だと話されました。
また企業は自分で考え行動できる人材を求めており、働く環境によって求められるものが異なるものだと、学生さんへのアドバイスもいただきました。そして押し付けではなく主体的に良いなと思うような共感を作りあげる仕事をしてゆきたいと皆で納得しながら30分のディスカッションを終了しました。
閉会後、現地の参加者はパネリストを囲んで温かいお茶をいただきながら和やかなひとときを過ごしました。学生時代に経験しておくべきことや、進路の相談、白川郷の現況についてなど学生さんが積極的に話をされている姿を見てうれしくなりました。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
お二人のパネリストの活動のご様子は下記のURLよりご覧いただけます。
福田さんのリンク
岐阜住学インスタグラム
https://www.instagram.com/gifujugaku
シェアハウスのページ
https//www.shirakawago-human-univ.jp
かややね会議インスタグラム
https//www.instagram.com/shirakawago_kayayane_mtg
白川郷小木町集落の環境を守る会のページ
http://shirakawa-go.com/~ogimachi/
高藤さんのリンク
事務所HP
https://to-ast.jp/
事務所インスタグラム
https://www.instagram.com/toast_architects?igsh=MWxvODlzZnI2NnBycQ%3D%3D&utm_source=qr
YOUTUBE Channel
https://www.youtube.com/@somosomoi8265
somosomoインスタグラム
https://www.instagram.com/somosomostyle?igsh=eTdhd3ByZncwMHh2&utm_source=qr
今回もより多くの方々に参加していただけるよう会場とZoomのハイブリット形式で実施いたしましたが、イベントが重なったこともあり少人数の開催となりました。今後も学生さんを含め楽しく縦横の交流ができますよう住居の会ならではの企画を考えてまいります。
★当日のアンケート結果をまとめましたので併せてご覧ください。→リンク
2024年11月 企画係