2019年2月10日(日)午後、目白キャンパスにて、妹島和世さんによる講演会「建築と環境」を開催しました。前日と翌日に降雪予報が出ている中、開催が懸念されましたが、当日は穏やかな天候に恵まれ、会員だけでなく学生や一般の方も含め約500名の方にご参加いただきました。
昨年9月に改修を終えた成瀬記念講堂(1906年建設)が会場だったこともあり、早くから会場入りし、カメラを手に熱心に建物細部を見学する方もありました。講堂内は以前と変わらない落ち着いた雰囲気のままでしたが、椅子は2階の一部以外はテーブル内蔵の新しいものに変わっていました。椅子の背には寄附者の名前が刻まれており、ン十年前の卒業生が現在校生のお子さんと一緒に自分の名前を探す姿や、友人の名前を探す姿も見られました。小島会長による開会の挨拶ののちに、妹島さんに約1時間半講演していただきました。
日本女子大学は、創立120周年を迎える2021年には、人間社会学部が西生田キャンパスより移転し、四学部が目白のキャンパスに統合される予定です。妹島さんはこの新キャンパスのグランドデザインを担い、「目白の森のキャンパス」というコンセプトのもと、既存の建物と新しい建物を融合させつつ、能動的学修を支援する「ラーニングコモンズ」を緑に包まれたキャンパス全体に拡げ、教室の中だけでない学修環境をつくりだすことを目指しているそうです。完成間近の図書館の詳細を中心に、その具体的な内容を図面や写真を用いて解説していただきました。今後目白キャンパスがどのように生まれ変わっていくのか、非常に楽しみに感じました。
そのほか妹島さんが近年手掛けられたキャンパスやホール等の作品を多数紹介していただきました。作品は国内にとどまらず、スイス、イタリア、イスラエルなど、海外作品のスケールの大きさに驚かされました。また、妹島さんがパブリックな建築物について、どのような考えに基づき、どのように計画されているのかを知ることもできました。
講演後には、事前に寄せられた質問に答えていただきました。学生時代のお話や設計なさる上で大切にしていること、また普段の生活のお話も伺うことができ、妹島さんのお人柄にも触れることができました。
最後に鈴木賢次先生よりご挨拶をいただき、閉会となりました。
講演会終了後には、妹島さんを囲んで小川信子先生や学内の先生方をお招きし、住居の会関係者でささやかな懇親会が開催されました。当日ボランティアとして協力してくださった学生の方々にも出席していただき、妹島さんと交流する貴重な時間をもつことができました。
最後になりましたが、お忙しい中、講演をお引き受けくださいました妹島さんには心より感謝申し上げます。またご協力いただきました日本女子大学をはじめとする多くの方々、当日の参加者の皆様にも御礼申し上げます。(文・撮影:広報係)