第9回住居の会奨励賞

市民にむけた防災・減災教育

21s伊村則子氏(37回生、院12回生)
武蔵野大学人間関係学部環境学科住環境専攻 准教授

目的
1995年阪神・淡路大震災では6,400余名の多くの方が亡くなり、その後もいくつかの被害地震が発生しているが、耐震改修や防災に対する取り組みが飛躍的に進んだとは言えない状況にある。そこで、来たりうる地震に備えて、一人でも多くの命が助かるように、普段から防災に興味をもち、個人や家族などで防災に取り組んでもらえるように、市民にむけた防災・減災教育の活動を行ってきた。市民一人一人の自覚と準備が、減災につながる。

22s具体的な活動内容
1・防災・減災教育の活動として、子供に教える優れた教材が少ないことから、2002年に幼少期・小学校低学年を対象とした日常災害から非常災害まで安全教育を扱った絵本『かえるくんちのぼうさいあいうえお』
※1を卒業制作として制作し、絵本の一部が千葉市の2003年春の全国防火ポスターにデザインが採用された。

2・横浜市危機管理局が作成した市民向けの防災マップ
※2作成の委員会委員を務めたことから、フィールドワークとして、横浜市都筑区「NPO法人 I Love つづき」が主催する市民活動「防災体験サバイバルキャンプ」(小学校3~6年と保護者が参加。夏休みに実施)
※3を専門家の一人として支援している。これは、横浜市が提供する防災マップを実際に市民が使う取り組みをサポートしているものであり、初年度(2005年度)は横浜市共催で始まり、今年度はNPOと企業、他大学の専門家と一緒にサポートし3年目が終了、産官学の活動に発展している。なお来年度も実施予定である。同じくわいわい防災マップを使って、横浜市立本牧中学校ではPTAの方々と一緒に校区内を歩く防災まち歩きを行った。

3・その他、武蔵野市の成蹊大学の学生サークルが主催するシンポジウムでは、消防、行政の方々とともにスピーカーとしてお手伝いさせて頂いたり、「リスク評価に基づく地震防災投資に関する研究会」のメンバーの一人としてe-learning教材「今、家族と一緒に耐震補強を考える。」

以上のように、子どもから大人までそれぞれの対象を意識しながら、研究成果を社会還元するべく、防災・減災教育の活動を続けている。

※1 もともとは冊子であるが、関係者に配布したところ多数の問い合わせを戴いたが、自費制作自費出版から限界がある。
※2 横浜市民防災情報「わいわい防災マップ」
http://wwwm.city.yokohama.jp/bousaimap/
※3 活動の様子はI Love つづきHPを参照下さい。
http://www1.tmtv.ne.jp/~ivtuzuki/ysj07/index.html