第10回住居の会奨励賞

img10-1服部弥重子氏(19回生)
共同作業のメンバーの方たちと(右から3番目)

「らいてうの家」設計プロジェクト

~協同で建てた「らいてうの家」女性9人で取り組んだ設計監理~

目的
女性解放運動の原点となった「青鞜」の創刊をはじめ、母性の権利や女性の政治的権利確立のための社会運動への参加、消費組合運動の実践、世界平和への呼び掛けなど多くの足跡を残した平塚らいてうの遺品、蔵書、資料などを展示、保存する施設「らいてうの家」の設計・監理を地元女性建築士9人の協同作業で行った。
施設内のホールや図書室、自然を残した庭や周囲に広がる大自然は平和・協同・自然を学び語らう場を提供している。

img10-2具体的な活動内容
2004年2月から6月下旬
「平塚らいてうの会」がこの土地を遺族より寄贈された事を機に「記念館設立の構想」が起き2年後のオープンを目標に建設計画が始まる。
計画は地元の設計者できれば「平塚らいてうの記念館」なので女性の設計者に依頼してはどうか、という提案を受けて地元の女性建築士9人が集まる。
施主である「平塚らいてうの会」コーディネーター、地元の女性建築士9人が初顔合わせ。
全国の会員の意見を持つ施主の要望もまだ掴めない中手探りで8案を用意。

2004年7月8月
第1回目のワークショップは東京で案を4つに絞込み第2回ワークショップは地元の上田市真田町で開かれ、薪ストーブ、天窓、シャワールーム、資料展示スペース、図書室・会議室・和室・ベランダ・バルコニーなど参加した70名余りの会員から様々な要望が出る。
やがて簡素な山小屋風で周りの自然と溶け込む「家」の形が見えてくる。
延べ面積は35坪からベランダを入れて53坪になるが工事金額の増額は出来ないという事。

2005年1月
当初敷地内の立木を伐採し玄関ポーチの柱をシンボルツリーにという案かららいてうの会会長が地元の林業士と出会い県産材、真田町の「顔の見える木」で建てるという方向に。
実際は間伐材が多く伐採した量の1/3しか使えない。
結果「伐採・運搬・乾燥・加工」に予想以上の時間と費用が掛る。

2005年6月
上棟の日程は決まり木材の調達が急務、毎日原木の搬入状況と乾燥状態を確認
2005年8月上棟、工事完了11月
2006年4月引渡し
木材を主にという要望に答える為、構造材の他建具、家具も県産材を使う。

私達は構造材を求めて奔走した事で地元の木を使う大変さを学ぶ。地元の木材事情を知る良い機会となり、地産地消の流れを確認した。

女性が仕事をする時子育て、介護、家庭と仕事の両立等在るが、今回チームを組んで協力する事で一人では不可能な仕事も可能だという事を体験。

らいてうの家設計プロジェクト
http://www2.ueda.ne.jp/~kanakana/

NPO法人平塚らいてうの会
http://homepage3.nifty.com/raichou/

アトリエ獏一級建築士事務所(主宰 服部弥重子氏)
〒389-0505 長野県東御市和6697-5
電話 & FAX 0268-64-3406
http://www.tok2.com/home2/atoriebakukentiku/