安芸の小京都
広島県竹原市。
そこに「伝統的建造物群保存地区」があります。
道筋には江戸時代からの建物が並び、 人々はその文化を継承しながら暮らし続けています。 両隣も江戸時代からの住宅、そこに現代の住宅を設計しました。 間口四間 奥行き九間弱、中庭のある住宅です。心地よい住宅になればと設計しました。
外壁は漆喰塗り、内部壁・天井は珪藻土塗り、地元の左官さんの手によるものです。門扉も建物と一体に設計。二階の窓の格子は、はめ込みではなく、引違いとすることで、家の中からも周囲の町並み・山のお寺を眺めることが出来るようにしてあります。
町並みの格子は、もともと家々によりデザインが異なるものです。そこでこの住宅の格子と母屋の格子に統一性をもたせることで、近隣の伝統的な建物の間でも違和感のない、調和ある表情をつくり出しています。
設計： 前野益子 （一級建築士 (有)前野望建築都市研究所）
エントランス・ポーチ
外壁の腰板も母屋と同じデザインです。
住宅の中心となる居間は吹き抜け。 窓の向こうは中庭、通風・採光を確保しています。奥は寝室・水周りです。 町屋がそうであるように廊下は無く、建具を壁の中に収め、部屋の独立性も図っています。
中庭は、アウトドアーのリビングです。
ダイニングルームよりの眺め。 同時に中庭も楽しめます。
作者紹介 前野益子 （21回生）
| 1967年 | 県立岡山大安寺高校卒業 |
| 1971年 | 日本女子大学家政学部住居学科 卒業 |
| 富永譲＋フォルムシステム研究所 他 設計事務所勤務 | |
| 1980年 | （有）前野望建築都市研究所設立に参加 |
| 1981年～1998年 | 東京工芸大学工学部建築学科非常勤講師 |
| 1999年 | 織田福祉専門学校非常勤講師 |
| 現在に至る |