住居の会主催「人生フルーツ」上映会のご報告

2018-01-20 映画上映会「人生フルーツ」住居の会主催「人生フルーツ」上映会のご報告

2018年1月20日、しばれる寒さの続く今年はじめ、 住居の会では新泉山会一階ホールにて、映画会『人生フルーツ』 を開催致しました。午後1時半からの部には約110名、 3時からの部には約50名の会員および会員のご家族・ ご友人の方々がお見えになり、上映時間の91分間、 心に染みいるひとときをご一緒することができました。

この映画の舞台は、 愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一隅にある、 雑木林に囲まれた一軒の平屋です。 建築家の津端修一さん90歳が、師であるアントニン・ レーモンドの自邸に倣って立てたもの。四季折々、 キッチンガーデン(といっても超本格的!) で育てられた70種の野菜と50種の果実が、妻・ 英子さん87歳の手で、おいしいご馳走に変わります。 その日々の暮らしと、ご夫妻のこれまでの人生を、 いくつかの印象的な言葉と、 美しくやさしい光と風を捉えた映像とともに、 静かに瑞々しく描いたドキュメンタリーでした。

私が心に残ったのは、「むかし、ある建築家が言った」 という出だしではじまる、いくつかの言葉でした。
「長く生きるほど、人生はより美しくなる」(フランクロイド・ ライト)
「家は、暮らしの宝石箱でなくてはならない」(ル・コルビジェ)
「すべての答えは、偉大なる自然の中にある」(ガウディ)
ほう・・・、そう言えばそんなこと、 学生の頃読んだ本に書いてあったっけなあ・・・ とおぼろげながら思い出しつつ、その言葉が説得力を持つのは、 このような住宅にこのような生活が溶け込んだ時間と空間を言うの ではないかしらんと思ったり。そして、その暮らしを、 このご夫妻が「できるものから、小さく、コツコツ。 ときをためて、ゆっくり」 とお二人で作り上げてきたことそのものに、 感嘆と尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。

今回は、会員だけでなく、ご家族やご夫婦、ご友人の参加も多く、 また、敬愛する小川信子先生、 元非常勤講師の香山壽夫先生ご夫妻、見学会でお世話になった藤井恵介先生もお見えになったのは嬉し いことでした。私たち住居学科で学んだ者たちにとっては、 自分の人生を振り返り、現在やこれからの仕事・生活・家族に、 しばし思いを馳せるひとときとなったのではないかと思います。 アンケートでも、 住居の会にふさわしい良い映画をこれからも紹介して欲しいとの要 望が複数あり、 今後も候補となる作品を探していきたいと思っています。

企画係 小野理映子