【開催報告】住居の会協力イベント:9/8「名建築で観劇を」リーディング公演『死と乙女』×『伊藤邸(旧園田高弘邸)』(主催:犬猫会)

【開催報告】住居の会協力イベント 9/8「名建築で観劇を」
リーディング公演『死と乙女』×『伊藤邸(旧園田高弘邸)』(主催:犬猫会)

住居の会協力という形で初めて行われたイベント「名建築で観劇を」は、
住居の会の会員、桜楓会の会員、一般のお客様あわせて56名がお越し下さり、
大変盛況のうちに幕を閉じました。ご来場下さいました皆様ありがとうございました。

庭先に賑わいの気配が広がり、開場時間の13時を待たず音楽サロン側の玄関を開けました。
お客様のお出迎えや受付は、住居の会企画係の皆様にお引き受け頂きました。
いつも見学会や交流会も手際よく進行して下さる信頼の企画係です。

公演が始まるまでの時間、ご来場の皆様に伊藤邸(旧園田高弘邸)をご見学頂きました。
住宅遺産トラストの理事でもある木下会長とご担当の吉見様が、ご案内下さいました。
出演者控室としてお借りしていた2階の和室からちょっぴり覗くと、
皆さんが吉村順三氏設計の空間を熱心にご覧になられている様子が伝わってきました。

日曜の昼間、穏やかな雰囲気に包まれた音楽サロンに「不屈の民」のピアノ演奏が響いて、
『死と乙女』の上演が始まりました。
これまで楽器の音色が響いてきた空間には、役者3人の声もよく響きました。
犬猫会の演目の中でも『死と乙女』はリーディング劇として、
視覚よりも音声で楽しんで頂く要素の大きな上演形態です。
声と空間とお客様の集中力とが合わさって、場の密度はどんどん高まっていくようでした。
大きな障子から差し込む西日が次第に強くなった頃、終演を迎えました。

終演後はホッと一息。住宅の見学と同時に、チリワインやジュース、お菓子を片手にお喋りを楽しんで頂くシアターカフェを開催しました。
物語のラストシーンはどういうことだったのだろう、
私はこう感じた、そんな解釈もあるのか、と物語の旅路を共にしたからこその会話や、
はたまた全く違う話で盛り上がったりと、思い思いにお過ごし頂きました。

音楽サロンには作品のタイトルにもなっている「死と乙女」の作曲家シューベルトの肖像画が、
園田高弘氏の書棚のなかには劇中の台詞に登場するニーチェが収められていたようでした。
物語の舞台は遠い異国の地ですが、海辺に建つ別荘の一間で起こるドラマです。
今回、『死と乙女』の再演を戦後の小住宅の名作と言われる『伊藤邸(旧園田高弘邸)』で叶えられたことは、
何か縁を感じずにはいられません。とにかく貴重で、贅沢な体験をさせて頂きました。

この場所と引き合わせて下さったのは、住居の会です。
企画係の皆様は当日のご案内だけでなく、どんな場所で上演が出来そうかといった段階から相談に乗って下さっていました。
シアターカフェのご準備も、進めて下さいました。
また、当日の撮影及び事前の告知等をして下さった広報係の皆様のおかげで客席もあっという間に埋まりました。
木下会長はじめ住宅遺産トラスト様、貴重な住宅で初の演劇利用を許可下さり感謝申し上げます。

「名建築で観劇を」を無事に終えられたのは、皆様のお力添えあったおかげです。
この度は多大なるご協力、本当にありがとうございました。

2024年9月 企画係/犬猫会 山下智代

【参考】当日のアンケート
アンケート_建築で観劇を『死と乙女』×伊藤邸